セカンドハーベスト京都の活動報告

【 目 次 】

1.理事長より 「フードバンク愛知さんを訪問して」

2.お知らせ(ニュース&トピック)

3.活動データ

4.編集後記

1.理事長より「フードバンク愛知さんを訪問して」

 10月半ばまで半袖だったのが急に長袖が必要となり従来秋だった期間が減ってしまっているように感じますね。前回に引き続き東海中部圏でのもう一方の中核団体である「認定特定非営利活動法人フードバンク愛知(以下FB愛知)」さんを訪問させて頂きました。前回から他県のフードバンク団体を訪問させて頂いていますが、これは弊団体が今年3月から取り組んでいる日本民間公益活動連携機構(休眠預金活用)による中核フードバンク団体育成事業の取り組みとして弊団体より活動規模が大きな団体を訪問し今後の活動に活かしていきたい、という目論見で取り組んでいるものです。

【団体概要】

設立認証:2019年6月

理事長:宮尾久子

副理事長:尾形秋夫

役員構成:理事4名・監事1名

有給スタッフ:3名

ボランティアコアメンバー:約15名

活動エリア:名古屋市を中心に愛知・岐阜・三重県

※お米の画像は10kgパックで入ってきた政府備蓄米を5kgにリパックする作業

主な活動内容:

  1.支援団体向けパントリー

   (一般的にはフードバンク活動)

  2.行政と連携したひとり親サポート支援

  3.あいち子ども食堂応援ステーション支援

  (認定団体、一般的にはフードバンク活動)

 4.留学生支援活動(フードパントリー活動)

食品取扱量(寄贈受入量):1,347トン

倉庫規模:100坪

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FB愛知さんは、厳しい生活状況に置かれた世帯やこどもたちの声に心を寄せた有志ボランティアが集い、2019年に設立されました。活動の中心には「こども支援」が据えられており、こども食堂やそのネットワーク、ひとり親家庭など、子育て家庭を支える団体・世帯への食品提供に大きな比重を置いて取り組まれています。

特筆すべき点として、2023年度は1,300トンもの食品を取り扱われており、これは国内でもトップクラスの実績です。その背景には、設立母体が物流企業であったことによる高度な物流ノウハウが活かされている点が、大きな強みとして挙げられます。また現在は、フードバンクが存在しない市町への立ち上げ支援にも尽力されており、その取り組みはまさに東海エリアにおける中核フードバンクとしての役割を体現するものだと、あらためて強く感じました。

2.お知らせ(ニュース&トピック)

(1)10月25日、京都経済センターにて、ドキュメンタリー映画『取り残された人々:日本におけるシングルマザーの苦境』の上映懇談会を開催しました。

本作は、日本で20年以上暮らすオーストラリア人監督が、日本の母子家庭が「働いてもなお困窮に陥る」現状を目の当たりにし、その問題意識から制作に踏み切った作品です。上映後には監督ご自身から制作に至った経緯や、取材を通して見えてきた課題について直接お話いただき、参加者からも深い関心が寄せられました。

当日は多くのご来賓にもご出席いただき、ある国会議員の方からは「国会でも上映したい」というお声もいただきました。本作品をきっかけに、日本のひとり親家庭が置かれている現状への理解がさらに広がり、今後のより良い施策につながることを願っております。なお、本作品は Amazon Prime Video でも視聴可能となりました。

関心をお持ちの方は、ぜひご覧いただければ幸いです。

 

参考タイトル:The Ones Left Behind: The Plight of Single Mothers in Japan

       『取り残された人々:日本におけるシングルマザーの苦境』

(2)公益財団法人 前川報恩会様の活動報告会参加してきました

2024年の1月から12月にかけてフードバンク事業や食のセーフティネット事業に対し助成して頂きました前川報恩会様の活動報告会に参加してまいりました。この報告会にむけて活動報告を準備し発表させて頂きましたが、2HKの発表の前後には学術分野や福祉分野の団体も発表されておられ普段、あまり接点のない団体や学術機関の方々の発表を興味深く拝見しました。

普段、あまり設定のない団体や学術機関の方々の発表を興味深く拝見しました。助成の審査をされた方々からは2HKの事業にとても関心をもって頂き、さらにこの分野への助成をしていきたいとの事務局の方からお話もございました。前川報告会様大変お世話になりありがとうございました。

(3)PwCJapan有限責任監査法人様からのプロボノ支援が終了しました

PwCJapan有限責任監査法人様は、世界149カ国に広がる国際的な会計グループ「PwC」の日本における監査部門で、日本でもトップクラスの専門性を持つ監査法人です。企業や団体のお金の流れを点検し、透明性を高める役割を担っています。

2HKでは、昨年12月に初回打合せを行い、今年4月から10月にかけて、5名の専門チームでプロボノとしてご協力いただきました。今回は、私たちの経理や会計の進め方をより分かりやすく、負担の少ない形に整えることを中心にサポートしていただきました。

非営利組織は、多くの事業や助成金を扱うため、一般の企業よりも複雑な処理が必要

になる場面が多く、限られたスタッフでは対応が追いつかないこともあります。今回の見直しは、そうした課題を一つずつ整理し、より健全で分かりやすい運営につなげる大きな一歩となりました。新しい業務フローは来年3月から試験的に運用を始める予定です。次年度には、作業量が大きく減り、より子ども支援やフードバンク事業に力を注げるようになると期待しています。みなさまからのご寄附で支えられている大切な活動を、より確かなものにしていくための取り組みです。今後とも温かいご支援を賜れましたら幸いです。
 
※ プロボノ(Pro Bono)とは?
「プロボノ」は、専門的なスキルや知識を、無償で社会貢献のために提供する活動のことです。ラテン語の「Pro Bono Publico(公共の利益のために)」が語源です。

(4)日本フードバンク連盟の衛生監査を受け無事認証を取得しました

2HKでは加盟している日本フードバンク連盟では衛生環境にも配慮したフードバンク運営がなされているか2年に1度監査員が来場され監査を受けます。様々な指摘事項を踏まえ寄贈頂く食品メーカー様等からより信頼されるフードバンクの運営を取り組んでいく決意をあらたにする機会となりました。

4.編集後記

2HKは10年前に長期事業計画を立てた際のメルクマールは達成してきており、資金面も含めほぼ計画通りではあったのですが、他県の大規模フードバンクと比べると、同じ創立10年目の段階でも京都の食品取扱量は大きく見劣りします。京都府内で活動するフードバンク団体すべての量を合計しても、先行地域の数分の一にとどまっているのが現状です。その背景には、地域産業の構造や食品メーカーの本社・製造工場、物流拠点、港湾の立地といった地域特有の産業構造が影響しており、寄贈食品が集まりにくいという地域性があることは間違いありません。 しかし一方で、京都府内の困窮世帯比率は全国平均よりやや高い水準にあります。 つまり、「寄贈食品は少ないのに、支援を必要とする人は多い」という深刻なねじれが続いているのです。本来、生活困窮に陥る人を生まない社会を目指すことは、言うまでもなく重要です。しかし、その実現にはまだ時間がかかり、政治や行政への働きかけも継続していく必要があります。それでも、今この瞬間にも、公的支援にすらつながれていない「困っている人たち」が確実に存在しています。

来月から、2HKでは冬のこども支援プロジェクトの準備が本格化します。アンケートに寄せられる
「こどもに我慢をさせたくない」
「つらい思いをさせて申し訳ない」
という声に触れるたびに、「もっと届けたい」「もっと集めなければ」という思いが強くなります。

しかし現状、このプロジェクトの支援が届いているのは、必要とする世帯のわずか2割にすぎません。この事実は、私たちの前に立ちはだかる大きな壁の存在を如実に物語っています。

この壁をどう乗り越えるのか。乗り越えられるのか。
自問自答は、まだしばらく続きそうです。 

今回も最後までご覧いただきありがとうございました。【文責:澤田】

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