セカンドハーベスト京都の活動報告

【 目 次 】

1.新理事就任のご挨拶

2.理事長より 「セカンドハーベスト名古屋さんを訪問して」

3.お知らせ(ニュース&トピック)

4.活動データ

5.編集後記

1.新理事就任のご挨拶

平素より、2HKの活動にご理解と温かいご支援を賜り、心より御礼申し上げます。

このたび、8月より理事に就任いたしました小林和紗と申します。

私は約6年前より、ボランティアとして2HKに関わり、フードバンクの集配業務、フードパントリーの運営、ならびにこども支援プロジェクト等の活動に参加してまいりました。日々精力的に活動する2HKの運営に参画することとなり、大変光栄に思うとともに、その責任の重さに身の引き締まる思いでおります。 今後は、一人のボランティアとしての視点も大切にしながら、より一層活動の充実に寄与できるよう尽力してまいりますので、何卒よろしくお願い申し上げます。

私は現在、企業の「はたらく環境づくり」を支援する会社に勤務しており、その一環としてBCP(事業継続計画)対策のご提案を行う機会もございます。 日頃よりご支援くださっている法人の皆様におかれましては、すでにご承知のことと存じますが、近年では地域貢献やBCP対策の一環として防災食品を備蓄する企業が増加しており、賞味期限が近づいた防災食品をフードバンクへ寄贈する取り組みも広がりを見せております。

企業にとっては、不要となった食品の有効活用と社会貢献の両立が可能となり、CSR(企業の社会的責任)を果たす手段

としても注目されています。 企業が社会的責任を果たすことを強く求められる時代にあって、フードバンクは企業活動と社会貢献をつなぐ重要な存在であることを、私自身も日々実感しております。

私の勤務先でも、今年度より防災食品の備蓄を始めました。今後、入れ替えのタイミングには2HKへ寄贈し、少しでも社会のお役に立てればと考えております。 また、これから防災食品の備蓄を始められる法人の皆様にも、2HKへの寄贈をご検討いただけましたら幸甚です。

来る10月25日には、映画『取り残された人々:日本におけるシングルマザーの苦境』の上映イベントを開催いたします。 当日は、司会を務めさせていただきます。ご来場の皆様には、会場でお目にかかれることを楽しみにしております。

今後とも、2HKの活動へのご理解とご支援を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

2.理事長より セカンドハーベスト名古屋さんを訪問して」
このたび、「セカンドハーベスト」を名乗る国内4団体の一つである、 認定特定非営利活動法人セカンドハーベスト名古屋(以下、2HNさん) を訪問し、 理事長の前川行弘様をはじめ、理事の皆様から直接お話を伺い、倉庫の現場も見学させていただきました。

【団体概要】
設立認証:2008年12月24日

理事長:前川 行弘

役員構成:理事5名・監事1名

有給スタッフ:3名

ボランティア:約100名

活動エリア:名古屋市を中心に愛知・岐阜・三重県

主な活動内容:
  1.パートナー団体支援
  2.行政と連携した個人支援
  3.ケアリーバー支援

食品取扱量(寄贈受入量):442トン

倉庫規模:100坪

一見すると2HK(セカンドハーベスト京都)と似た規模に見えますが、
 実際にはその組織基盤と受入量は圧倒的で、昨年度の2HK(53.2トン)の約8倍にあたります。 また、現理事長は6代目とのことで、代表交代が円滑に行われている点は、私が知る限り最も理想的な例でした。
■行政連携型の個人支援の進化
2HNさんの「行政と連携した個人支援」は、2HKの「食のセーフティネット事業」と近い理念を持ちながら、 仕組みの完成度においてさらに進化していました。
 行政機関からの申請をもとにオーダーメイドで食品をパッキングする点までは共通ですが、 2HNさんでは行政を介さず最終受益者に直接配送されています。
この出荷は毎日約50件、年間約7,000件にも及び、 配送費や消耗品費は実費として行政に請求できる仕組みが確立されています。 しかも、これらの出荷オペレーションはすべてボランティアによって担われており、 登録メンバーのうち約20名が毎週1~2日、継続的に参加されているとのことでした。 その中から理事・理事長が選ばれているという点も、まさにミッションドリブンな理想的運営に思えました。
■2HKとの比較と学び
2HKでもかつて行政機関向けに「最終受益者への直送」方式を提案したアンケートを行いましたが、 全ての回答が「今のままで十分」というものでした。 理由の深掘りはまだできていませんが、 どこかの自治体で突破口が拓ければ、2HKでも同様の仕組みの水平展開が実現できる と思っています。
■訪問を終えて
2HNさんは2HKより7年早く設立されていますが、 彼らの10年目にあたる2018年時点で、すでに食品受入量450トンを達成していたとのこと。 その背中は、今の私たちにはまだ遥か遠くに見えました。しかし、先行する仲間から学び、京都の地で自分たちの形を磨いていくことこそ、 セカンドハーベストとしての使命の継承であると感じています。
 この訪問を通じて得た気づきを糧に、 「食のセーフティネット」をより強固に、そしてより温かく広げてまいりたいと思います。

3.お知らせ(ニュース&トピック)

(1)星和電機株式会社様 × 城陽市教育委員会 面談 9月2日

城陽市に本社を置き、日頃より2HKをご支援くださっている 星和電機株式会社様

(以下、星和電機様) のお力添えにより、地域のつながりから 城陽市教育委員会 との面談の機会をいただきました。この取り組みは、2HKが2018年より継続して実施している「こども支援プロジェクト」の城陽市での展開 を目指すものです。開始当初から、ある市議会議員の方を通じてご紹介をお願いしていましたが、これまで具体的なご縁にはつながらず、その一方で「城陽市でもぜひ実施してほしい」という市民からの声は継続的に2HKへ寄せられていました。一昨年、星和電機様の社長増山様と懇談する機会をいただいた際に、こうした地域の声をお伝えしたことがきっかけとなり、今回ようやく実現に至ったものです。

当日は、星和電機様から執行役員をはじめ3名の皆様、城陽市教育委員会からは課長補佐および事務担当の方1名がご出席くださり、2HKからは団体概要に加え、こども支援プロジェクトの仕組み・実施フロー・保護者や子どもたちから寄せられた声などを丁寧にご説明いたしました。

面談の結果、教育委員会からは「持ち帰って検討したい」とのご回答をいただき、

現時点では来年度以降の実施可否は未定です。しかし、支援を待つ家庭が確かに存在しており、いつか城陽の子どもたちにも食の支援が届くよう、その扉が開かれることを心から願っています。

(2)ノートルダム学院小学校での出前授業 9月5日

学校法人ノートルダム女学院の初等教育部門であるノートルダム学院小学校よりお申し込みをいただき、初めて5・6年生の給食委員の皆さんを対象に、「食品ロス削減のための出前授業」を実施しました。

授業では、食品ロスの現状やフードバンクの仕組み、そして「食べものを無駄にしないことが誰かの支えになる」という視点を中心にお話ししました。生徒の皆さんからは、

「フードバンクを初めて知った」

「食べものはたくさんあるのになぜ行き渡らないのかがわかった」

「日本でも食べものが足りない人がいるのを知らなかった」

といった率直な感想が寄せられ、2HKがこの啓発活動を行う目的そのものが、まさに達成されたように感じました。

また、授業の最後には、私立小学校向けに制作した「格差をテーマにした紙芝居」を鑑賞していただきました。「とても心に残った」という感想を多くいただき、子どもたちが他者への思いや社会の不公平さに目を向ける姿に、未来への確かな希望を感じました。

最後に寄せられた

「フードバンク、私もしてみたい」

「フードドライブに参加したい」

という声は、私たちにとって何よりの励みとなりました。

こうした学びの機会を通じて、次世代が“食の支え合い”の担い手へと育っていくことを願っています。

(3)農林水産省主催の「令和7年度 食品アクセス全国キャラバン」にオンラインで参加

本キャラバンは、経済的・物理的な理由で十分な食料を入手できない人々への支援体制を強化し、地域の“食品アクセス”を改善することを目的に、昨年度から実施されている取り組みです。国の支援策を一度に学ぶことができる、非常に貴重な機会となりました。

日本にフードバンクの仕組みが誕生してから、すでに24年余り。少しずつではありますが、フードバンクを取り巻く環境は改善の兆しを見せています。しかし、欧米諸国の“フードバンク先進国”と比較すると、日本の公的支援はまだ十分とは言えず、国内の半数以上のフードバンク団体が手弁当で活動しているのが現状です。その基盤は依然として脆弱であり、継続的な公的支援の整備が強く求められています。

食べ物は、人が生きるうえで最も基本的で欠かすことのできない資源です。
それが欠ければ、人の尊厳も、社会の安定も維持できません。国内には、食料の生産や流通において一定の充足がある一方で、家計や地域による格差から、食べものへのアクセスが困難な人々が少なくありません。経済的に困窮したとき、身近な場所で食料支援を受けられる仕組みを社会に根づかせること——それが私たちフードバンクの使命であり、
その実現には、国や自治体の制度的支援が不可欠です。今回のキャラバンでは、そうした課題意識のもと、2HKとしても現場の視点からいくつかの意見を表明させていただきました。仕組みを変えていくには、政治や行政への継続的な働きかけが必要です。

2HKは一地方の団体ではありますが「ローカルだからこそ見える現実」を大切に、これからも怯まずに、政策の改善と社会的理解の拡大に向けて発信と行動を続けてまいります。

画像は2018年4月 超党派食品ロス削減PTの副座長(現公明党代表代行の竹谷とし子議員)へ全国フードバンク推進協議会とともに政府備蓄米のフードバンクへの提供の要望書を届けた際の模様

★残席あり・再募集のお知らせ★
【再掲】ドキュメンタリー映画上映&懇談会
10月25日(土)、京都経済センターにてドキュメンタリー映画『取り残された人々:日本におけるシングルマザーの苦境』の上映と懇談会を開催いたします。

■開催概要
- 日時:10月25日(土)13:30〜16:40
- 会場:京都経済センター 3階
- 申込締切:10月23日(木)
- 申込方法:[こちらからお申込みください

■式次第
1.ドキュメンタリー映画上映
2.来賓挨拶
3.監督によるご挨拶およびQ&A
4.フードバンク支援の取り組み紹介
5.懇談・質疑応答
※映画のみのご鑑賞も可能です。

上映後の休憩時間にご退席いただいても構いません。

 

ご不明点があれば、お気軽にお問い合わせください。

問合せ先:info@2hkyoto.org 

4.活動データ(2025年9月)
(1)入出荷データ:寄贈受入量 8.2トン 分配量合計 5.5トン
(2)食品寄贈企業団体(順不同敬称略)
コストコホールセールジャパン株式会社京都八幡倉庫店、京都生活協同組合、大倉産業株式会社、公益社団法人日本非常食推進機構、コカ、コーラ ボトラーズジャパン株式会社、イオントップバリュ株式会社、株式会社ナカリ、キリンビバレッジ株式会社、日本生活協同組合連合会、日本調味食品株式会社、スター食堂株式会社、有限会社齊藤工業、株式会社酪農適塾、株式会社ヤマサン、宗教法人 宝塔寺、宗教法人生長の家 京都第一教区京都教化部、農林水産省(本省)
(3)フードドライブ協力企業団体(順不同敬称略)
エニタイムフィットネス・宇治小倉店・エニタイムフィットネス・城陽寺田店・エニタイムフィットネス・長岡京友岡店、ゲストハウス・トゥ・カサ、コープさがの、コープパリティ、コープ宇治神明、コープ山科新十条、コープ祝園駅、コープ城陽、コープ醍醐石田、コープ男山、コープ桃山、コープ二条駅、はなぶさ児童館、学校法人ノートルダム女学院中学高等学校、株式会社ヤマウチ、ジョイリハ京都北大路、株式会社東横イン京都四条大宮、株式会社平和堂フレンドマートMOMOテラス店、株式会社髙島屋京都店、京都市音羽児童館、京都市花山児童館、京都市山階児童館、京都市四ノ宮児童館、京都市春日野児童館、京都市小野児童館、京都市醍醐児童館、京都市醍醐中央児童館、京都市辰巳児童館、京都市百々児童館、山階南児童館、中山児童館、陵ヶ岡児童館、京都生活協同組合、(以上35団体/法人)
(4)個人寄贈者:10名
(5)フードバンク事業分配件数:60件 
(6)食のセーフティーネット支援件数:17件
5.編集後記
10月は「食品ロス削減推進法」(正式名称:食品ロスの削減の推進に関する法律)により定められた、食品ロス削減月間です。フードバンクという仕組みは、1960年代にアメリカで生まれ、当初は「困っている人に食料を届けたい」というチャリティの精神から始まりました。その結果として、余剰食品が無駄にならず、食品ロス削減にもつながっている——つまり、目的は「人を助けること」、効果として「食品ロス削減が生まれる」活動です。しかし現場では、「食品ロスの削減」という言葉が先行するあまり、フードドライブが“食品リサイクル(食品資源を加工し植物の肥料や家畜の飼料に加工されること)の一環だと誤解されてしまうことがあります。そのため、賞味期限切れの食品や、冷蔵が必要な食品、あるいは使用中開封済みの食品などがフードドライブBOXに入れられる事例も少なくありません。2HKでは、これまでにも行政や協力団体に対して繰り返しお伝えしてきましたが、「フードドライブはチャリティのための活動である」という本来の意義を、改めて社会に広く発信していく必要を感じています。
10月のこの月間を機に、「もったいない」から一歩進んで、「誰かのために」へ。そんな思いを胸に、私たちも活動への決意を新たにしています。
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