セカンドハーベスト京都の活動報告
2025年 夏休み こども支援プロジェクト特集号
今回の作業エリアでもっとも暑かったエリアで黙々と作業されるボランティアの皆さん

目次

  1. こども支援プロジェクトの現在地

  2. 2025年度の計画

  3. 夏休みに向けた準備

  4. 出荷当日の様子

  5. 利用者の声

  6. 冬休みに向けて

  7. 理事長より、ご協力いただいた皆さまへ

1.こども支援プロジェクトの現在地

セカンドハーベスト京都(以下、2HK)が京都府内で「こども支援プロジェクト(CSP)」を開始したのは2018年。今年で7年目を迎えます。

支援対象は、「就学援助※1を受ける準要保護※2世帯で小学生のいる家庭」です。

ただし、京都府内のすべての該当世帯に支援が届いているわけではありません。

私たちの推計では、京都府内には約13,313世帯の就学援助対象世帯が存在し、そのうち約35%にあたる4,777世帯がCSPによる支援を必要としていると見込んでいます。

今年はその推定ニーズの約25%にあたる1,200世帯への支援を実現しました。対象地域は、京都市29学区、宇治市14学区、八幡市8学区、宇治田原町2学区の計53学区。京都府内の公立小学校(2023年度時点で365校)の約14.5%をカバーしています。

 

※1就学援助とは
学校に通うために必要なお金(給食費、学用品、修学旅行など)を、家庭の経済的な理由で払うのがむずかしい場合に、自治体が助けてくれる制度です。

※2準要保護とは

生活保護を受けていないけれど、生活が苦しい家庭のことを「準要保護」と呼びます。こうした家庭の子どもが、就学援助を受けられるようになっています。

2.2025年度の計画

今年度は、新たに宇治田原町を支援対象に加え、1,200世帯への支援を計画しました。計画段階で見えていた主な課題は以下のとおりです。

  • 作業倉庫の構造変更により、従来のライン作業が実施できない
  • 6月からの熱中症対策義務化に伴い、暑熱対策が急務に

CSPには決まった予算や助成制度がなく、事務局では日々、助成金申請や寄附の呼びかけに奔走しています。正直なところ、「エイヤー!」と気合いで乗り切っている部分も少なくありません。

一方、明るいニュースとして、政府備蓄米がフードバンク向けに割り当てられたことで、毎年大きなコストを占めていたお米の購入を回避できました。さらに、予定外の大口助成が決定し、全体の約8割の食品を確保できたことも大きな支えとなりました。

3.夏休みに向けた準備

CSPの準備は、166項目以上のタスクを事務局スタッフ3名で分担し進めています。主な内容は以下のとおりです。

  • 教育委員会・学校向け案内作成・送付
  • 協力企業へのフードドライブ依頼
  • 食品の収集・検品・分類・カウント
  • 米のリパック(10kg→5kg)
  • 資材・広報・クラウドファンディングの手配
  • ボランティア対応

とくに、政府備蓄米のリパック作業では、京都ダルクの皆さんが多大なご協力をしてくださいました。

6月中には、フードドライブによる食品が倉庫に到着し、2HKのボランティアが検品や分類作業を順次実施。7月14日以降には、企業協力(コストコ京都八幡倉庫店様、石井食品京丹波工場様など)による提供品も搬入され、倉庫は満杯に。今回は、倉庫の大家である大倉産業様のご厚意により、別エリアをお借りすることで、通常のフードバンク用食品を退避できました。

CSPウィークには、食品の配置・梱包・再配置などをボランティアの皆さんと共に行いました。作業の円滑な進行は、こうした事前準備にかかっています。

最大の懸念は「暑さ」です。換気の難しい倉庫では、大型冷風扇、スポットクーラー、アイススラリー、塩分タブレットなどを用意しましたが、なお厳しい環境下での作業となりました。

4.出荷当日の様子

12:30:参加団体集合・紹介・挨拶・作業説明・記念撮影
 参加団体(順不同・敬称略)
 京都八幡高校ボランティア部、大谷中高ハレジャ部、ノートルダム女学院、京都橘大学、京都産業大学、オムロン基金、Daigasグループ、AMAN京都、ニデック、日新電機、レジデンシャル不動産、京都ダルク、2HKボランティア等 総勢104名
13:00:作業開始(休憩15分×3回)
 慣れた八幡高校・社会人チームの配置が功を奏し、見たことのないスピードでパレット(42個積み)が完成。15:45にはすべての梱包作業を終えました。
暑さ指数28前後の中、体調不良者が3名出ましたが、救護チームの迅速な対応により大事には至りませんでした。
全員集合!
15:45 作業完了
【メディア取材】
 今回は下記のメディアより取材頂き放映掲載して頂いております。
 (青のリンクから動画閲覧可能です)
  1. NHK京都放送局様  (8月23日)
  2. テレビ大阪様 (8月31日)
  3. 京都新聞様 (8月20日)

5.利用者の声

今回は定員1,200世帯に対し、1,378件の申込みがあり、抽選となりました。申込み時から、厳しい生活状況を訴える声も多数寄せられています。

【申込時の声】

  • 2年前に交通事故に遭い、入退院を繰り返して現在も休職中。復職後も短時間労働で収入が大きく減りました。

  • 夫がうつ病で7年間働けず、物価高で食料を削る生活。学校が休みになると食費の負担が増え、とても苦しいです。

  • 離婚したばかりで、貯蓄なし。子ども3人との生活を始めたばかりで、食費がとても負担です。

  • 5人の子どもを育てるシングルマザー。夏休みは母親が夜しか食事できないほどの苦しい日々です。

  • お米すら買えない時があり、物価高で生活が厳しいです。

【食品受取後の声】

送付した食品にはアンケートはがきを同封しており、すでに多くのご返信をいただいています。一部ではありますが共有致します。

6.冬休みに向けて

冬も引き続き1,200世帯を対象とした支援を実施予定です(夏に抽選漏れした方も再応募可能です)。

食品のご寄贈を検討いただける場合は、11月28日までに弊団体までお届けください。検品・分類・配置に時間を要するため、ご理解とご協力をお願いいたします。

また、夏は多数の団体からご参加希望をいただきましたが、倉庫スペースの都合で100名までに制限させていただきました。冬も同様の見込みですので、ご希望の団体はお早めにお申し込みください(CSPは団体申込のみ受け付けております。お申込みはこちら)。

7.理事長より ~ご協力いただいた皆さまへ~

今回のCSPでは、これまでにない量の食品をお届けすることができました。ご寄贈くださった皆さま、助成やご寄附をお寄せいただいた皆さまに、あらためて深く感謝申し上げます。

 

また、準備から出荷作業まで厳しい環境下でご尽力くださった京都ダルクの皆さまをはじめ、関係団体や企業の皆さまにも心より御礼申し上げます。

 

6月からは、事業所での熱中症対策が義務化され、WBGT(暑さ指数)の計測機器を導入しました。WBGTが31℃を超えると、作業時間を「15分作業・45分休憩」とする必要があり、場合によっては作業中止となります。実際、出荷翌週の7月19日以降は連日31℃超えの日が続き、もし1週間遅れていたら、数人で作業する状況になってしまい出荷が大幅に遅れる可能性もありました。そうなると支援物資の到着もお盆頃になっていた可能性が高く、予定どおり出荷できたのは幸運でした。

しかし、来年も同じような暑さに見舞われる可能性を考えると、運頼みでは心もとなく、こうした状況を受け、以下のような対策を検討しています。

 

 1.倉庫内を空調で冷却する方法

 - 方法①:20馬力程度の業務用エアコンを設置(費用目安:約200万円)

 - 方法②:地中熱を利用したヒートポンプ式空調設備の導入(費用目安:800万円~900万円現実的ではありません・・・

  2.空調設備の整った場所を借りる方法

 - 条件:10トントラックの出入りが可能であること、費用が高額でないこと、

  物流機器(コンベア・パレット・ハンドリフト等)が使用可能であること。

  (これは今でも探してきましたが、なかなか見つかりません)


府内の約4,700世帯がCSP支援を必要としていると見られていますが、倉庫や人員体制の限界もあり、現状では規模の拡大が難しいのが実情です。今後、2HKだけで担うのではなく、府内の他団体と連携して広域的な支援体制を構築していくことが現実的な道だと考え始めています。

 

正直なところ、毎年「来年も続けられるだろうか」と不安になる瞬間があります。

 

それでも今回、2018年の第1回から参加くださっている京都八幡高校ボランティア部の先生とこんな会話を交わしました。

 

「最初は高校の教室で、買い物カゴをぶら下げながら作業してましたよね」
「ほんまですね、信じられないくらいです」

 

たった57世帯から始まったCSPが、皆さまのご支援によってここまで成長しました。

京都府全域に支援が届く日も、きっと夢ではない。その希望を胸に、これからも歩みを止めることなく進んでまいります。

今後とも温かいご支援・ご協力を、どうぞよろしくお願い申し上げます。 文責:澤田

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